2026年8月時点の情報
ロンボク島セコトンの南西端には、乾季になると世界的に知られる長いチューブが立つデザートポイントがあります。ですが「東南アジア サーフィン」で検索しても、ロンボクを含めて「なぜその時期にその海岸が良いのか」という波の発生と伝播の仕組みまで説明した記事は、実はあまり多くありません。
この記事ではロンボク島(南岸〜南西端のデザートポイント)を軸に、サーフスウェルがどこで生まれ、どうやって海岸に届くのかを、南半球で発達する低気圧の仕組みと、モンスーン(季節風)が決める風向きという2つの軸から解説します。バリ島・メンタワイ諸島・スリランカなど周辺エリアは、ロンボクの立ち位置を測るための比較材料として扱います。読み終える頃には、自分の休みが取れる時期からロンボクを軸にした行き先を逆算できるようになっているはずです。
先に情報源の立場を書いておきます。ロンボク島についてはセコトンで宿泊施設を運営する私たちの一次情報、それ以外のエリアは各国の気象機関・政府観光局が公開している情報にもとづくという非対称な構成です。ロンボク以外の記述は現地取材ではなく公開情報の整理である、という前提で読んでください。
この記事でわかること
- ✓ロンボク島(デザートポイント含む)を軸に、うねりがどこで生まれ、どう海岸まで届くのか
- ✓同じ乾季・雨季でも、海岸の向きで「良い時期」が真逆になる理由
- ✓主要エリアを月別に整理した早見表と、レベル別に狙うべき月
- ✓エリアごとにかかる費用・移動時間・リーフでの危険
東南アジアの波はどこから来るのか——南半球のうねりが数千kmを旅する
波を起こす一番の要因は風です。オーストラリア気象局(BOM)は、風速・風が吹き続ける時間・風が吹く距離(吹走距離)の3つが波の大きさを決めると説明しています。南半球の高緯度、南極海に近い海域では低気圧が時計回りに回転しながら発達し、広い範囲に強い風を長時間吹かせます。ここで生まれた波は、風の範囲を出たあとも「うねり」として長い距離を移動し続け、発生地から数千キロメートル先まで届くことがあるとBOMは説明しています。
インドネシアのスマトラ島・ジャワ島・バリ島・ロンボク島・スンバワ島の南西〜南岸は、この南インド洋の開けた海に直接向き合っています。そのため、現地の空が晴れていて嵐がなくても、遠く離れた南半球の海で生まれたうねりが定期的に届き、コンスタントに波が立つ海岸として知られています。逆にいえば、波があること自体は「その場所の天気」とはほとんど関係がありません。
結論
南西〜南向きの海岸に来る波の多くは、その日その海で生まれたのではなく、数千km離れた南半球の海で生まれ、何日もかけて旅してきたうねりです。
この発生から到達までの流れを図にすると、次のようになります。
図1:スウェルの発生と伝播の概念図
出典:オーストラリア気象局(BOM)の説明にもとづく概念図(地理的な縮尺・位置関係は簡略化しています)
ここで注意したいのは、「うねりがある=いつでも良い波に乗れる」ではないという点です。うねりが海岸に届いても、その日の風がどちらから吹いているかで、波が整うか崩れるかはまったく変わります。この「風の向き」を決めているのが、次に説明するモンスーンです。
同じ乾季でも海岸の向きで波は真逆になる——モンスーンが「面」を決める
まず用語を正確にそろえておきます。オフショアとは「陸から沖に向かって吹く風」のことで、向かってくる波の面を立てて整える働きをします。反対にオンショアは「沖から陸に向かって吹く風」で、波の面を崩してぼやけさせます。同じうねりが届いていても、この2つのどちらになるかで海の見え方はまったく別物になります。そして、その日の風向きを季節単位で決めているのがモンスーン(季節風)です。
インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)の2026年乾季予測(2026年3月10日発表)によると、インドネシアの多くの地域は2026年4月から6月にかけて乾季に入り、8月に乾季のピークを迎えると予測されています。乾季をもたらすオーストラリア側からの季節風(東季節風)は、年によって前後しますが、おおむね4〜5月ごろから10月ごろまで続き、残りの期間(おおむね11月から3月ごろ)が西季節風の時期にあたります。
東季節風の時期はオーストラリア大陸側から南東寄りの風が卓越し、南西〜南向きの海岸(バリ島のブキット半島、ロンボク島の南岸、スンバワ島やスマトラ島西岸など)にとってはオフショア=陸から沖へ吹く風になりやすくなります。逆に西季節風の時期は北西寄りの風が卓越するため、同じ南西〜南向きの海岸はオンショア=沖から陸へ吹く風になりやすく、代わりに東向き・北向きの海岸がオフショアになりやすくなります。「乾季だから波がいい」のではなく、「乾季は南西〜南向きの海岸がオフショアになりやすい」というのが正確な理解です。
POINT
海岸の向きが変われば、同じ「乾季」「雨季」という言葉でも結果はまったく変わります。行き先を検討するときは、月だけでなく「その海岸がどちらを向いているか」までセットで考える必要があります。
この入れ替わりを図で整理すると、次のようになります。
図2:乾季と雨季で「オフショアになる海岸」が入れ替わる
出典:BMKG(インドネシア気象気候地球物理庁)の季節予測にもとづく概念図。実際の風向きはスポットごとの地形で変わります(2026年8月時点)
この「海岸が入れ替わる」という仕組みが最もはっきり出るのが、実はインドネシアではなくスリランカです。スリランカ政府観光局の公式サイトは、東岸のアルガンベイについて「サーフシーズンは4月初めから10月末まで、ベストは5月から11月」と案内しています。この4〜10月は南西モンスーンの時期にあたり、東岸にとっては陸から沖へ抜ける風になります。一方、同じ時期に南岸(ゴール〜ウェリガマ周辺)は南西からの風をまともに受けるオンショア+荒天期です。南岸が穏やかになるのは、風向きが反転する北東モンスーン期=おおむね11〜4月ごろで、東岸と南岸はきれいに半年ずつを分け合っています。
フィリピンは、この「乾季・雨季で海岸が反転する」という話とは、そもそも仕組みが違います。フィリピン大気地球物理天文庁(PAGASA)は、南西モンスーン(ハバガット)はおおむね5月末から6月ごろに始まり、その後は北東モンスーン(アミハン)に切り替わると発表しています(2025年は10月7日に南西モンスーンの終息を発表。年により時期は前後します)。さらに、シアルガオのように太平洋に面した海岸では、うねりの主な発生源がそもそもインド洋の低気圧ではなく北西太平洋で発生する熱帯低気圧(台風)です。PAGASAは公式の台風解説ページで「台風シーズンのピークは7月から10月で、この期間に全台風のおよそ70%近くが発生する」と説明しています。同じ「東南アジア」でも、波が生まれる海がそもそも違うということです。
注意
この記事の早見表は、気象機関・政府観光局といった公的ソースで時期を裏付けられたエリアだけを載せています。タイやベトナムなど、モンスーンの影響は受けるものの波の時期を示す公的資料が確認できなかったエリアは、推測で埋めずに掲載を見送りました。掲載が無い=波が無い、という意味ではありません。
【早見表】月別×エリアで見る、波が安定しやすい時期
ここまでの仕組みをもとに、主要エリアの「波のコンディションが安定しやすい時期の目安」を整理しました。ここで示す時期はあくまで一般的な傾向であり、「その時期なら必ず良い波に乗れる」ことを保証するものではありません。年によるブレもあります。あわせて、そのエリアで実際に払うことになる費用や不便も同じ表に入れました。
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| エリア | 海岸の向き | 安定しやすい時期の目安 | レベル | 不便・危険・追加費用 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|
| バリ島・ロンボク島・スンバワ島のアウターリーフ | 南西〜南(インド洋) | 4〜10月ごろ(乾季=東季節風の時期) | 中級〜上級 | 沖のリーフまでボート移動が前提。乾季は世界中から人が来るためラインナップが混雑。リーフでの擦過傷が最も多いケガ | BMKG 2026年乾季予測+現地運営者の一次情報 |
| ロンボク島南岸のインサイド(初心者向けの内側の波) | 南〜南東 | 11〜3月ごろ(南東の風が弱まり、朝のうち面が保ちやすい) | 初心者〜中級 | 雨季にあたるため午後のスコールと日程の読みにくさ。ボート往復・ガイド代が別途必要 | 現地運営者の一次情報(2026年8月時点) |
| メンタワイ諸島(西スマトラ州沖) | 南西(インド洋) | 5〜10月ごろ(波高の目安2〜7m) | 中級〜上級中心 | パダンから船。フェリー約10〜12時間(13.5〜16万ルピア)/高速船約3〜4時間(外国人30万ルピア)。島間のボート借上げは1日150〜300万ルピア | インドネシア政府観光局公式サイト |
| スリランカ東岸(アルガンベイ) | 東 | 4〜10月ごろ(ベストは5〜10月) | 初心者〜上級(スポットが分かれる) | コロンボから陸路で長距離移動。ビザ・渡航手段をインドネシアとは別に確認する必要あり | スリランカ政府観光局公式サイト |
| スリランカ南岸(ゴール〜ウェリガマ周辺) | 南〜南西 | 11〜4月ごろ(北東モンスーン期。5〜9月は南西モンスーンでオンショア・荒天期) | 初心者〜中級 | ベストシーズンが年末年始と重なり宿代が上がりやすい。エリア外の東岸とは往復6時間超の移動 | スリランカ気象局の南西モンスーン期(5〜9月ごろ)情報からの機構上の推定。サーフ時期を明記した公的資料は確認できず |
※フィリピン太平洋側(シアルガオなど)は、モンスーンではなく台風由来のうねりが主体で、PAGASAによれば台風発生のピークは7〜10月です。ただし各スポットでオフショアになる風向きなど波質を判断できる公的データが確認できなかったため、この表には時期を載せていません(2026年8月時点)。
同じ内容を色分けした図でも示します。行が半年ずつずれているエリアがあることに注目してください。これが「向きが違えばシーズンも反転する」ということです。
図3:月別×エリアの波の目安(上表を図にしたもの)
上表と同じ根拠(BMKG/インドネシア政府観光局/スリランカ政府観光局/現地運営者の一次情報)にもとづく図です(2026年8月時点)
レベル別に「狙うべき月とエリア」を決める
ここまでが仕組みの話です。ここからは、読者が実際に月とエリアを決められるように、レベル別に落とし込みます。ポイントは「大きい波が正解ではない」ということ。インドネシア政府観光局はメンタワイ諸島のハイシーズン(5〜10月ごろ)の波高目安を2〜7mとし、同サイトはこれを「あらゆるレベルのサーファーに向く」と紹介していますが、これはガイド船とインストラクターが付く前提での記述です。ボードコントロールと流れの読みに不安があるうちは、同じ月でもサイズの落ち着くエリアを選ぶ方が、結果的に乗れる本数は増えます。
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| レベル | 狙う月 | 第1候補エリア | 理由と、そのとき我慢すること |
|---|---|---|---|
| 初心者(テイクオフ習得中) | 11〜3月 | ロンボク島南岸のインサイド | 南東の風が弱まり、朝のうちは面が保ちやすい時期。ただし雨季なので午後はスコール前提の日程を組む |
| 初心者(乾季しか休めない場合) | 4〜10月 | スリランカ東岸(アルガンベイ) | 初級者向けのポイントが分かれて存在する。ただし渡航距離と陸路移動が長く、ビザも別途確認が必要 |
| 中級(アウトも狙いたい) | 4〜6月・9〜10月 | ロンボク島南岸/バリ島 | 乾季の入口と出口はサイズが極端になりにくく、混雑もピークよりまし。真夏の7〜8月は人もサイズも増える |
| 上級(サイズと質を最優先) | 6〜9月 | メンタワイ諸島/ロンボク島南西端デザートポイント | 乾季のピークにうねりが最も入る。メンタワイは船の手配費用、デザートポイントは極端に浅いリーフが代償 |
※月の目安は本記事の早見表と同じ根拠にもとづきます。レベル区分と「我慢すること」は、ロンボク島については現地運営者としての判断、それ以外は公開情報からの整理です(2026年8月時点)。
スポットごとのレベルの目安や、初日にどこへ入るべきかは、ロンボク島サーフィン入門ガイドとロンボク島サーフスポット完全ガイドで個別に確認してください。
実際に払うコストと、我慢することになる不便
サーフトリップの計画で見落とされがちなのが、「波以外にかかるもの」です。エリアを決める前に、次の5点は必ず見積もっておいてください。
- 船とガイドの費用:メンタワイ諸島はパダンから船が前提で、インドネシア政府観光局の公式案内ではフェリーが約10〜12時間・13万5000〜16万ルピア、高速船が約3〜4時間・外国人料金30万ルピア、島間のボート借上げが1日150〜300万ルピアとされています(同局公式サイト記載。2026年8月時点)。ロンボク島南岸のスポットも多くはボートアクセスで、往復の船代とガイド代が毎日かかります。
- 移動時間:インドネシアは「島に着いてから」が長い旅です。ロンボク島の場合、空港から南岸のサーフエリアまで、また島の南西端のポイントまでは、それぞれ別方向に1時間以上の陸路移動になります。ロンボク島の交通ガイドで移動手段を先に押さえておくと計画が崩れません。
- リーフでのケガと医療:東南アジアの良い波の多くはサンゴ礁の上で割れます。擦過傷は化膿しやすく、ブーツやリーフ用の応急セットは必需品です。ロンボク島の医療体制と保険の考え方はロンボク島の病院・医療・海外旅行保険ガイドにまとめています。
- 雨季の欠航と天候リスク:11〜3月ごろは海況悪化で船便の遅延・欠航が起こりえます。初心者向けの時期=雨季という組み合わせになるロンボクでは特に、予備日を1日入れておくのが現実的です。詳しくはロンボク島の雨季ガイドを。
- 通信と混雑:波情報の確認にはネット環境が要ります。ロンボク島の通信事情はロンボク島のSIM・WiFi・ワーケーション事情を参照してください。混雑については、乾季ピークのバリ島の有名ポイントはラインナップの順番待ちが常態で、1本あたりの本数は確実に減ります。
もうひとつ、季節の話だけでは絶対に埋まらないのが潮回り(潮汐)です。特に浅いリーフブレイクは、潮位が下がると波の形は良くなる一方でリーフとの距離が一気に縮み、危険度が跳ね上がります。後述するデザートポイントはその典型で、干潮前後の数時間しか成立しないうえ、その時間帯がいちばん危ない、という性質を持っています。現地に着いたら必ず、その日の潮汐表とローカルのサーフショップの見立てをセットで確認してください。
セコトンから見たロンボクのサーフ事情(現地運営者の一次情報)
ここは、公開情報ではなく私たち自身が現地で把握している範囲の話です。Semelar Beach Villageがあるセコトンは、ロンボク島の南西部にあります。よく「ロンボクのサーフィン=グルプック」と紹介されますが、グルプックは島の南中部で、セコトンからは陸路でおおむね2時間半〜3時間かかります(2026年8月時点)。セコトン滞在からグルプックに毎日通うのは、正直に言って現実的ではありません。
セコトン側の実物は、島の南西端バンココバンコにあるデザートポイントです。乾季(おおむね5〜9月ごろ)に南インド洋からのうねりが入ると、極端に長い左回りのチューブが立つことで世界的に知られています。ただし、これは上級者限定のポイントです。水深がほとんどないリーフの上で割れるため、落ちれば珊瑚に叩きつけられます。医療機関のある町からも遠く、初中級者が「せっかく近いから」と入って良い場所ではありません。セコトンの中心部から陸路でおおむね1〜1時間半、後半は路面状況の悪い区間が続きます(2026年8月時点)。
🏝️ セコトン現地からのひとこと
セコトンは「サーフィンだけをしに来る場所」ではありません。上級者がデザートポイントの当たり日を待つ拠点として、あるいはサーフィンは南岸で数日楽しみ、残りをセコトンの静かな海と村で過ごす二拠点型の旅として使うのが、いちばん噛み合う組み立て方だと感じています。波が無い日でも、目の前の海でシュノーケリングができるのがこのエリアの強みです。
候補地を条件で選ぶ——ロンボク・バリ・スンバワ・メンタワイ・シアルガオ・スリランカ
あらためて、記事冒頭に書いた情報源の非対称性を思い出してください。ロンボク島は現地運営者としての一次情報、それ以外は各国の気象機関・政府観光局が公開している情報にもとづく整理です。その前提で、まずロンボク島の立ち位置を確認したうえで、比較のための候補を挙げます。
- ✅ 初心者〜中級で、サーフィン以外の滞在も楽しみたい → ロンボク島。ビーチブレイクからリーフブレイクまで幅があり、波が無い日にシュノーケリングや山・滝に振り替えられます。詳細はロンボク島サーフトリップ実務ガイドとクタ・ロンボク(マンダリカ)ガイドへ。
- ✅ 便数・宿・レンタル店などインフラの充実を優先したい → バリ島。世界的な知名度と設備の多さでは、この記事で挙げるどのエリアもバリ島に及びません(ロンボクが引き換えにしているのはこの充実度です)。代償は乾季ピークの混雑です。
- ✅ 質の高いリーフブレイクと大きめのうねりを最優先する → メンタワイ諸島。ここも、波そのものの格ではロンボクより上と考えるのが妥当です。船の手配と費用(上記)を許容できるかが分かれ目になります。
- ✅ 乾季(4〜10月)しか休めず、初心者〜中級で確実に乗りたい → スリランカ東岸アルガンベイ。政府観光局が公式にシーズンを明記している数少ないエリアで、時期の読みやすさが強みです。ロンボク島南岸のアウターは中級以上向けのため、初心者はこちらが比較先になります。
- ✅ 年末年始や冬休みしか休めない → ロンボク島南岸のインサイド、またはスリランカ南岸。北東モンスーン期に回る海岸を選ぶという発想に切り替えます。
- ✅ 混雑を避けて、まだ知られていないエリアを開拓したい → スンバワ島。ロンボクよりさらに東で、移動の手間は確実に増えますが、その分静かな環境が期待できます。
- ✅ 太平洋側の、まったく違う仕組みの波にも興味がある → フィリピン・シアルガオ。うねりの発生源が台風で、PAGASAによれば発生のピークは7〜10月です。ただし各スポットの波質を裏付ける公的データが確認できなかったため、この記事では時期を断定していません。渡航はマニラ・セブ経由が基本です。
まとめ|ロンボク島を軸に、自分の休みが取れる時期から行き先を逆算する
ロンボク島を含む東南アジア周辺のサーフスウェルは、南半球の低気圧が生む「波源」と、モンスーンが決める「風向き」という2つの要素で決まります。オフショア(陸から沖へ)になる海岸は季節ごとに入れ替わり、ロンボク島も南岸のアウター(乾季向け)と南岸のインサイド(雨季向け)で狙い目が入れ替わります。スリランカのように東岸と南岸で半年ずつシーズンを分け合うケースもあり、この記事ではそうした他エリアを、ロンボクの立ち位置を測る比較材料として扱いました。まず自分が休みを取れる時期を決め、その時期にオフショアになりやすい海岸——多くの読者にとってはロンボク島南岸——はどこかを逆算する。これが、行き先選びで遠回りをしないための考え方です。
整理すると、5〜10月ごろに休めるなら、ロンボク島南岸のアウターが中級以上の第一候補です。波の格をさらに求める上級者はメンタワイ諸島、初心者で乾季しか休めない場合はスリランカ東岸アルガンベイが比較先になります。11〜3月ごろしか休めないなら、ロンボク島南岸のインサイドが初心者〜中級の軸で、スリランカ南岸が同時期の比較先です。乾季のインドネシア南岸に初心者が飛び込むより、ロンボク島南岸のインサイドで待つ方が確実に乗れます。乾季にサイズと質を最優先する上級者には、セコトンから陸路1〜1.5時間のデザートポイントも候補に入ります。どうしても時期が合わない場合は、無理に波を追わず、シュノーケリングなど別の海の楽しみ方に軸足を移すのも現実的な判断です。
ここまでの内容を踏まえ、よく聞かれる質問に答えておきます。
よくある質問
Q. 東南アジアなら一年中どこかで良い波に乗れますか?
エリアを選べば、通年でどこかにシーズンは回っています。ただし「どこでも一年中」ではありません。5〜10月はインドネシア南岸とスリランカ東岸、11〜4月はスリランカ南岸とロンボク南岸のインサイド、というように海岸ごと半年ずつ入れ替わると考えてください。
Q. 初心者でもメンタワイに行けますか?
インドネシア政府観光局の公式案内は、ハイシーズンの波高目安2〜7mを「あらゆるレベルのサーファーに向く」と紹介しており、ガイド船とインストラクターが付く前提であれば選択肢になります。ただし到達に船が要り、島間のボート借上げは1日150〜300万ルピア(同局公式サイト記載)。費用と手配の負担を考えると、初めての海外サーフトリップの行き先としては重い、というのが正直なところです。
Q. ロンボクとバリ、サーフィン目的ならどちらが良いですか?
便数や設備の充実を優先するならバリ島、混雑を避けて落ち着いた滞在をしたいならロンボク島です。なお海岸の向きは同じではありません。バリの主戦場ブキット半島は南西向き、ロンボクの主要サーフ帯(クタ・グルプック・エカス)は南〜南東向きで、南西向きなのは島の南西端デザートポイント側です。乾季(4〜10月)が狙い目という大枠は共通しますが、風の当たり方は日によって差が出ます。
Q. 波の予報はどこで確認すればいいですか?
出発前は各国気象機関の海洋気象情報や公式の波浪予報を確認するのが基本です。インドネシアであればBMKGが高波警報を出しています。本記事の月別の目安はあくまで一般的な傾向であり、年により変動します(2026年8月時点)。
行き先の検討をさらに具体化したい方向けに、関連記事もまとめておきます。
あわせて読みたい
- ロンボク島とは?行き方・気候・見どころ完全ガイド気候・治安・エリアの全体像をまとめたピラー記事です。
- セブ・プーケット・ダナン・ロンボク島を徹底比較|条件別に選ぶ東南アジアのビーチリゾート直行便・ビザ・治安・費用の条件別比較。サーフィン以外の軸で行き先を決めたい方へ。
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- ロンボク島サーフスポット完全ガイドグルプック・エカス・デザートポイントなど主要スポットを個別に紹介しています。
- ロンボク島サーフトリップ実務ガイドガイド手配・宿・持ち物など旅の実務をまとめています。
波を求めて東南アジアを回るサーファーの中には、拠点をロンボク島セコトンに置く方も増えています。

最後に、この記事を書いている私たち自身の立場について触れておきます。
Semelar Beach Village(ロンボク島セコトン)
この記事は、ロンボク島セコトンで宿泊施設を運営する立場から執筆しています。ロンボク島の記述は現地で把握している一次情報、ロンボク島以外のエリアについては各国の気象機関・政府観光局が公開している情報にもとづく整理であり、現地取材にもとづくものではありません。
この記事で参照した公式ソースは、以下にすべて開示しています。
この記事が根拠にした情報
- オーストラリア気象局(BOM)「Explainer: dangerous ocean waves」https://media.bom.gov.au/social/blog/2334/explainer-dangerous-ocean-waves/
- BMKG(インドネシア気象気候地球物理庁)「Prediksi Musim Kemarau Tahun 2026 di Indonesia」(2026年3月10日発表)https://www.bmkg.go.id/iklim/prediksi-musim/prediksi-musim-kemarau-tahun-2026-di-indonesia
- BMKG 高波警報ページhttps://www.bmkg.go.id/cuaca/maritim/peringatan-gelombang-tinggi
- インドネシア政府観光局公式サイト(Indonesia.travel)メンタワイ諸島ガイド(波高2〜7m・船賃・ボート借上げ料金)https://www.indonesia.travel/us/en/travel-ideas/marine/guide-to-planning-a-trip-to-the-mentawai-islands-indonesias-surf-paradise
- スリランカ政府観光局公式サイト アルガンベイ紹介ページ(サーフシーズン4月〜10月)https://srilanka.travel/attraction?attraction_id=49
- スリランカ気象局 南西モンスーン展望(災害管理センター掲載PDF)https://www.dmc.gov.lk/images/pdfs/2022/monsoon__may_/SW_Mosoon_Outlook___Department_of_Meteorology.pdf
- PAGASA(フィリピン大気地球物理天文庁)「Tropical Cyclone Information」(台風シーズンのピークは7〜10月、全体の約70%が発生)https://www.pagasa.dost.gov.ph/climate/tropical-cyclone-information
- PAGASA 南西モンスーン開始発表https://pagasa.dost.gov.ph/press-release/213
- PAGASA 南西モンスーン終息発表(2025年10月7日)https://www.pagasa.dost.gov.ph/press-release/188
- ロンボク島に関する記述:Semelar Beach Village(セコトン)現地運営者としての一次情報(2026年8月時点)

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