ロンボク島の地震と津波|2018年の地震のあと、旅行者が知っておくべき備え

「ロンボク島は2018年に大きな地震があったと聞いたけれど、今行っても大丈夫なのか」「海に近い場所に泊まって、津波が来たらどうすればいいのか」。ロンボク島やセコトンへの渡航を検討し始めると、こうした不安を感じる人は少なくありません。

結論から言うと、2026年9月時点でロンボク島は外務省の危険情報でインドネシアの大部分と同じ「レベル1・十分注意してください」に区分されており、渡航を止めるべき状況ではありません。ただし地震・津波のリスクそのものがなくなったわけではなく、海に近い場所に滞在する以上、最低限の備えを知っておく価値はあります。

この記事では、2018年7月から8月にかけてロンボク島で実際に起きた地震の規模や被害、その後の状況、インドネシアで地震・津波が起こる仕組みの基礎、そして旅行者としてできる備えを、公的機関やWikipedia、現地報道など実際に開いて確認できた情報の範囲でまとめています。数字は出典によって幅があるため「〜ほど」「目安」という表現を使い、確認できなかった事項はその旨を書いています。

地震そのものの詳しい復旧状況や、直近の被災地の様子について、2026年9月時点で確認できる一次情報には限りがありました。誇張して不安をあおることも、逆に「もう安全」と断定することも避け、確認できた事実だけを書いています。

想定する読者は、ロンボク島(とくに南西部セコトン)への渡航を検討していて、地震・津波のリスクをある程度正しく理解した上で判断したい人です。日本で地震に慣れている人にも、そうでない人にも読めるよう、基礎的な部分から説明します。

2026年9月時点の情報

この記事でわかること

  • 2018年7〜8月にロンボク島で起きた地震の規模と被害の概要
  • 2026年9月時点で確認できる、その後の状況と外務省の危険情報レベル
  • ロンボク島で地震や津波が起こる仕組みの基礎
  • 揺れを感じたときの行動、BMKGの警報アプリ、たびレジ登録など旅行者の備え
  • セコトンの地形と、宿選び・滞在時に確認しておきたいこと

結論

2026年9月時点で、ロンボク島(西ヌサトゥンガラ州)は外務省海外安全ホームページの危険情報で、インドネシアの大部分と同じレベル1「十分注意してください」に区分されており、渡航自体を止めるべき地域ではありません。一方で、2018年7〜8月にはマグニチュード6〜7クラスの地震が相次ぎ、300人を超える死者と大きな住宅被害が出た事実があります。海に近い場所に滞在する旅行者は、宿の避難経路を確認しておくこと、強い揺れを感じたら公式な警報を待たずに高台へ移動するという基本を知っておくことが、現実的な備えになります。

目次

2018年7〜8月に、ロンボク島で何が起きたか

2018年7月29日朝、ロンボク島でマグニチュード6.4(Mw)の地震が発生し、20人が死亡しました。これが一連の地震の始まりで、その約1週間後の8月5日には、より規模の大きい地震が起きています。

8月5日の地震は現地時間19時46分ごろに発生し、規模は米地質調査所(USGS)でマグニチュード6.9(Mw)、インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)ではマグニチュード7.0とされています。震源の深さも観測機関により差があり、USGSは34km、BMKGは15kmとしています。

震源はロンボク島の北側に伏在する「フローレス背弧衝上断層帯」と呼ばれる浅い逆断層で、オーストラリアプレートがスンダプレートの下に沈み込む境界の一部にあたります。

被害は北ロンボク県を中心に大きく、同県では8割を超える建物が損壊または倒壊したとされ、住宅42,239棟、学校458校が影響を受け、41万人を超える人が避難生活を送りました。経済的な損害は当初5兆ルピアほどとされていましたが、後に8.8兆ルピア(約6億700万米ドル)ほどに見直されたと英語版ウィキペディアに記載されています。

8月にはこの後19日にも地震が起こっており、8月の一連の地震による死者は500人を超え、英語版ウィキペディアでは563人という数字が示されています。

図:2018年ロンボク島地震 死者数

7月29日の地震(M6.4) 20人 8月の一連の地震(M6.9〜7.0ほか) 563人ほど
図解: 英語版ウィキペディアの数字による。8月は5日・19日などの地震を含む。

8月5日の地震発生直後、BMKGは津波警報を発表し、最大50cmほどの津波を想定していました。実際に観測された津波の高さはほとんどの地点で数十cm以下にとどまりましたが(カリック地区で13.5cmなど)、カヤンガン地区では約2mの波が記録された地点もありました。警報は後に解除されましたが、発表直後には沿岸部でパニック的な避難が起きたことも記録されています。

今のロンボク島は、地震の観点でどう見られているか

2026年9月時点で、外務省海外安全ホームページの危険情報一覧を確認すると、ロンボク島を含む西ヌサトゥンガラ州は、渡航中止を呼びかける「レベル2」の対象地域には含まれていません。レベル2が発出されているのは中部パプア州・山岳パプア州のみで、それ以外のインドネシア全域(首都ジャカルタやバリ島を含む)と同じ「レベル1・十分注意してください」に区分されています。インドネシアの治安・安全情報もあわせてご覧ください。

地震から半年ほど経った2019年2月時点の現地報道では、被災地域のホテル・レストランの9割ほどが修繕を終えて営業を再開したと伝えられていました。ただし、これは2019年時点の情報であり、2026年9月現在の詳細な復旧状況(住宅の再建率や、地域ごとの差など)を裏づける一次情報は、この記事の作成時点で見つけられませんでした。断定的な「もう完全に元通り」という言い方は避け、確認できる範囲にとどめます。

なお、地震そのものが「もう二度と起きない」ということではありません。ロンボク島を含むインドネシア全体が、複数のプレートが接する地震の多い地域に位置していることは変わらないため、次の章で仕組みを簡単に整理します。

なぜロンボク島で地震や津波が起こるのか

インドネシアは、オーストラリアプレート、ユーラシアプレート(スンダプレート)、太平洋プレートなど複数のプレートが集まる位置にあり、世界でも地震の多い国のひとつです。ロンボク島付近では、海側のオーストラリアプレートが陸側のスンダプレートの下に沈み込んでおり、その力がたまった部分がずれ動くことで地震が起きます。2018年の一連の地震は、島の北側にある浅い逆断層(フローレス背弧衝上断層帯)が動いたことが原因とされています。

津波は、地震そのものではなく、海底や海岸近くの地形が地震によって急に変形し、海水を押し上げることで発生します。地震のたびに必ず津波が起きるわけではありませんが、震源が浅く、海に近い場所で起きた場合は津波が発生する可能性があります。2018年8月5日の地震では、BMKGが最大50cm程度の津波警報を発表し、実際に地点によって数十cmから2m前後の波が観測されました。

日本と比べると、ロンボク島周辺で起きる地震は、日本海溝や南海トラフのような巨大な海溝型地震とは仕組みが異なりますが、陸地に近い浅い場所で起きるため、揺れそのものは強く伝わりやすいという特徴があります。「日本より地震が少ない・多い」と単純に比較できるものではなく、どちらも地震国であるという前提で備える方が現実的です。

旅行者としてできる備え

特別な準備をしなくても旅行はできますが、海に近い場所に滞在する以上、最低限知っておくと安心な備えがあります。まず、宿にチェックインしたら、部屋や敷地内の避難経路と、徒歩で行ける高台や建物の上層階の位置を確認しておくことです。ロンボク島の治安にまつめた一般的な注意点とあわせて、出発前に頭に入れておくと落ち着いて行動できます。

強い揺れを感じたとき、または弱くても長く揺れが続くときは、海岸や低地にいる場合、公式な津波警報の発表を待たずに、可能な範囲で高台や高い場所へ移動するという考え方が、世界各国の津波避難で共通する基本です。揺れが収まってから慌てて動くよりも、揺れている最中から周囲の状況を確認しておくことが役立ちます。

図:強い揺れを感じたときの行動

1 まず身を守る 落下物に注意し揺れが収まるのを待つ 2 周囲を確認 揺れの最中から出口・高台の方向を確認 3 高台へ移動 海岸・低地なら公式警報を待たない 4 宿の案内に従う スタッフの指示を優先する
図解: 世界各国の津波避難で共通する基本の考え方。

インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)は、地震・津波の早期警報システム「InaTEWS」を運用しており、マグニチュード5以上の地震情報や津波警報を公式サイトで公開しています。公式アプリ「WRS-BMKG」でも、地域と規模に応じた通知を受け取ることができます。英語表示にも対応しているため、渡航前にインストールしておくと現地の一次情報に近い形で状況を把握できます。

外務省の「たびレジ」に渡航前に登録しておくと、大規模な災害や事件が発生した際に、滞在先の在外公館から緊急一斉通報メールが届くほか、登録した電話番号や宿泊先をもとに緊急時の連絡が行われる仕組みがあります。登録は外務省の公式サイトから行え、旅行情報と滞在先を入力するだけの手続きです。

海外旅行保険についても、自然災害による負傷や、緊急時の搬送・帰国費用が補償の対象に含まれているかを、出発前に確認しておくと安心です。保険や病院事情についてはロンボク島の病院・保険ガイドで詳しく扱っています。

出発前チェックリスト

  • たびレジに渡航前に登録したか
  • BMKGの公式アプリ(WRS-BMKG)をインストールしたか
  • 海外旅行保険が自然災害による負傷・緊急搬送を補償するか確認したか
  • チェックイン時に宿の避難経路・高台の位置を確認する予定か

セコトンの地形として知っておきたいこと

ロンボク島南西部のセコトン一帯は、白い砂浜が続く穏やかな湾の海岸部と、その背後に連なる緑の丘陵地とで構成された地形が特徴です。海に近い集落やホテル・ヴィラの多くは海岸沿いの低地にありますが、少し内陸へ入ると起伏のある丘が広がっています。地区全体について詳しくはセコトン完全ガイドでも紹介しています。

この地形は、津波避難の観点で言えば「海から離れる」だけでなく「高い場所へ上がる」という選択肢が現実的に存在するということでもあります。滞在先を選ぶ際や、チェックイン時に、海岸からどの方向にどのくらい歩けば高台に出られるかを、地図や宿のスタッフに確認しておくと、いざというときに落ち着いて行動しやすくなります。

セコトン現地からのひとこと

セコトンを含むロンボク島南西部は、海沿いの平地と内陸の丘が近い距離にある地形です。滞在先を決めるときは「海からの距離」だけでなく「歩いて高台まで行けるかどうか」も合わせて確認しておくと安心です。また、地震や津波は忘れた頃に話題になりがちですが、渡航前の備えは天候や体調管理と同じように、出発前のチェックリストの一項目として扱っておくと、当日慌てずに済みます。

地震・津波のリスクの先に、セコトンという場所があります

正直に言うと、ロンボク島を含むインドネシアは地震の多い国であり、そのリスクがゼロになることはありません。2018年のような規模の地震が今後も起こらないとは言い切れず、海に近い場所に滞在する以上、多少の不安が残るのは自然なことです。日本からの直行便がなく、渡航に手間がかかることも、この地域を選ぶ上での負担として変わりません。

それでも、2026年9月時点で外務省の危険情報がインドネシアの大部分と同じレベル1にとどまっていること、そして日本もインドネシアと同じく地震の多い国であることを踏まえると、地震・津波のリスクだけを理由にロンボク島を避ける必要はない、というのが現実的な受け止め方です。大切なのは、リスクを知らないまま行くことではなく、知った上で最低限の備えをして行くことです。

備えをした上で、それでも「海の近くに滞在すること自体に強い不安がある」という人には、無理に勧める場所ではありません。一方で、基本的な備えを理解した上で、漁村の静けさや南ギリの海に惹かれる人にとっては、セコトンはそのまま選択肢になり得る場所です。

よくある質問

Q. 2026年にロンボク島へ行っても安全ですか。

2026年9月時点で、外務省海外安全ホームページの危険情報では、ロンボク島(西ヌサトゥンガラ州)はインドネシアの大部分と同じレベル1「十分注意してください」に区分されており、渡航を止めるべき地域には指定されていません。ただし地震そのもののリスクがなくなったわけではないため、この記事で紹介した基本的な備えは知っておくことをおすすめします。

Q. 揺れを感じたら、まず何をすればいいですか。

まず落下物から身を守り、揺れが収まるのを待ちます。海岸や低地にいて強い揺れ、または長く続く揺れを感じた場合は、公式な津波警報を待たずに、可能な範囲で高台や高い建物の上層階へ移動するという考え方が基本です。宿のスタッフの案内にも従ってください。

Q. たびレジには必ず登録すべきですか。

義務ではありませんが、登録しておくと、大規模な災害や事件が発生した際に、在外公館からの緊急一斉通報メールを受け取れるほか、登録した連絡先をもとに緊急時の連絡が行われる仕組みがあります。出発前の数分でできる手続きなので、登録しておくことをおすすめします。

Q. セコトンの宿は地震に対応した造りですか。

個々の宿の耐震性については、この記事で一律に確認できる情報ではありません。気になる場合は、予約前に各宿へ直接問い合わせることをおすすめします。この記事では、地形をふまえた避難の考え方や、公的機関が出している一般的な備えの情報を紹介しています。

Q. 2018年の地震のあと、ロンボク島の観光は元に戻っていますか。

2019年2月時点の現地報道では、被災地域のホテル・レストランの9割ほどが修繕を終えて営業を再開したと伝えられていました。ただし、2026年9月時点の詳しい復旧状況を裏づける一次情報は、この記事の作成時点では確認できませんでした。断定は避け、気になる場合は宿や現地の最新情報を直接確認することをおすすめします。

まとめ

2018年7月から8月にかけて、ロンボク島ではマグニチュード6〜7クラスの地震が相次ぎ、500人を超える死者と大きな住宅・学校の被害が出ました。8月5日の地震では津波警報も発表され、地点によっては2m前後の波も観測されています。震源は島の北側に伏在する浅い逆断層で、インドネシアが複数のプレートの境界に位置していることが背景にあります。

2026年9月時点で、ロンボク島は外務省の危険情報でインドネシアの大部分と同じレベル1に区分されており、渡航を止めるべき状況ではありません。一方で、詳しい復旧の現状までは確認しきれない部分もあり、地震そのもののリスクが完全になくなったわけでもありません。宿の避難経路の確認、BMKGの警報アプリ、たびレジの登録、海外旅行保険の補償内容といった基本的な備えをしておくことが、現実的な対応になります。

セコトンを含むロンボク島南西部は、海沿いの低地と内陸の丘が近い距離にある地形です。この記事で紹介した基礎知識と備えを踏まえた上で、滞在先を選ぶ際の判断材料にしていただければと思います。

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この記事が根拠にした情報
  • Wikipedia日本語版「ロンボク島地震(2018年8月5日)」https://ja.wikipedia.org/wiki/ロンボク島地震_(2018年8月5日)
  • Wikipedia日本語版「ロンボク島地震(2018年7月)」https://ja.wikipedia.org/wiki/ロンボク島地震_(2018年7月)
  • Wikipedia English「5 August 2018 Lombok earthquake」https://en.wikipedia.org/wiki/5_August_2018_Lombok_earthquake
  • 外務省 海外安全ホームページ「危険情報一覧」https://www.anzen.mofa.go.jp/kiken_list.html
  • 外務省 海外旅行登録「たびレジ」案内ページhttps://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/registration.html
  • BMKG(インドネシア気象気候地球物理庁)InaTEWS公式サイトhttps://inatews.bmkg.go.id/eng
  • Google Play「WRS-BMKG」アプリ紹介ページhttps://play.google.com/store/apps/details?id=id.bmkg.wrsbmkg
  • じゃかるた新聞「ロンボク観光 回復の兆し 地震から半年 豪州との直行便就航へ」https://www.jakartashimbun.com/free/detail/46163.html
  • THE LOMBOK GUIDE「The Southwest Coast」(セコトン地域の地形紹介)https://thelombokguide.com/the-southwest-coast/
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